株価が安くなったから「買いだ」と判断するにしても、何を基準に判断すれば良いのでしょうか。店頭で販売される生鮮食品であれは、特売や見切り品など、大幅に値引きされているものは「お得」と判断できます。
株式の場合、株価水準が低いからといって購入すると、さらに値下がりしてしまうこともよくあることなので注意が必要です。私自身も昨年、フィリピンの証券取引所に口座を開設し、コロナ禍でマーケット全体が値下がりしているなかで投資しましたが、回復局面と思われたところにオミクロン株の蔓延やウクライナショックによりさらなる下落局面を迎えてしまい、20~30%のマイナスを経験しています。
株価が高いか安いかを判断する際には、明確な基準となる指標が必要です。代表的なものとして、企業収益と株価を比較する方法で、現在の株価を1株あたりの純利益で割って求める数値があります。これをPER(株価収益率)といい、よく参考にされる指数なので覚えておいてください。
純利益とは税引後の純粋な企業利益であり、この純利益を発行済み株式数で割ると、1株当たりの純利益が求められます。現在の株価をその値で割ることで、PERが求められ、単位は(倍)と表します。基準としては東証一部上場企業の平均的なPERが何倍なのかを把握しておく必要があります。
2022年時点ではPER平均値が20倍を超えている状況にあり、全体的に割高であると判断されますが、この数字よりも低いPERであれば、全体水準と比べて相対的に割安であると判断することができます。
もうひとつの指標としては、純資産と株価との比較です。純資産とはその会社が持っている総資産から負債を差し引いた正味の資産のことを指します。これを発行済み株式で数割って求められるのが1株当たりの純資産額です。現在の株価をその値で割ることで求められる数字をPBR(株価純資産倍率)といいます。
PBRが1倍を下回る場合、一般的にはその株価は純資産から見て割安であると判断されます。逆に、1倍を大きく上回る会社の株価は、すでにその企業価値を認められ、多く買われている(割高である)と評価できます。
現在、東証一部上場企業の平均PBRは1.25倍程度で推移しており、これを下回る会社の株価は相対的に割安と判断できます。さらに割安銘柄に投資するのであれば、PBRが1倍を割っている企業を選択するのもひとつの手法です。現在は評価されていなくても、思わぬ潜在価値のある企業を発掘できるチャンスでもあり、そういった企業に投資することを「バリュー投資」と呼びます。
ギャンブル的な視点ではなく、長期的に見て有望な企業の株式を保有し続けるという選択も悪くないでしょう。