#81 Web2.0の問題を解決するWeb3.0

■Web2.0_APPSからWeb3.0_DAppsへ

ブロックチェーン技術の普及に伴い、従来の中央集権型のネットワークは、非中央集権型となり、個人情報は特定の企業ではなくブロックチェーンに参加したユーザーによって分散管理されます。また、サービスを提供する基盤は特定企業に限定されず、各ユーザーが参加するネットワークが提供の基盤となるのです。

 

個人情報は分散管理され非中央集権型になることで、不正アクセスや情報漏えい、データ改ざんのリスクが軽減し、「プライバシー問題」・「セキュリティ問題」共に解決します。

 

Web2.0からWeb3.0に変わることで、私たちが普段使っている主要なサービスであるアプリが変わることが予想されています。DAppsとは、Decentralized Applicationsの略称で、「分散型アプリ」と直訳できます。ブロックチェーン上でソフトウェアを動作させる仕組み「スマートコントラクト」を応用したものであり、分野を超えて、様々なアプリが開発されています。

  

クラウドストレージサービスも、Web3.0ではIPFSやStorj(ストレージ)に置き換わることが予想されています。従来のストレージサービスは、特定企業が管理するサーバ上にファイルを保存する中央集権型のサービスですが、IPFSやStorjは、非中央集権型のデメリットを補完した新しいサービスとなるのです。

 

Web3.0_5Gの普及に伴い、特定企業が個人情報を収集・管理する時代が終わりを告げると言われています。個人がプライパーシーを取り戻す新たなインターネット時代とは、どんな世界なのか楽しみですね。

#80 Web2.0時代からWeb3.0時代へ

◻️Web2.0時代

Web2.0時代では、ADSLなどによってインターネットへの常時接続が可能になりました。通信速度も飛躍的に向上し、画像や動画を使ったコンテンツの視聴・配信もできるようになっています。インターネットを通じ、双方向に情報がやり取りできるようになった時代であり、コミュニケーションの形も大きく変わりました。

 

Web1.0時代でも、テキストベースで双方向にコミュニケーションを行うことは可能でした。しかし、Web2.0ではさらに広範囲に渡り、世界中の人と情報のやり取りができるようになっています。また、SNSによって誰もがWeb上で簡単に情報を発信できるようになりました。インターネットは単純に自分の興味あるコンテンツを閲覧するだけのものではなく、自らが参加または発信できるツールになったのです。

 

■Web2.0に顕在化した問題点

・特定の企業に個人情報が集中するプライバシー問題

 

GAFA : Google、Amazon、Facebook、Appleといった大企業には、性別・年齢・住所などの個人情報だけでなく、その人の嗜好や行動履歴まで、ありとあらゆる情報が収集されています。これらの企業が世界的に利用されているサービスを独占的に展開していることに起因しています。

 

こういった現状を問題視する声も多く、個人のプライバシーをどう守っていくかが課題となっています。

 

・中央集権型管理によるセキュリティ問題

企業のサービスを利用するにあたり提供した私たちの個人情報は、サーバで集中管理されています。このサーバ・クライアント方式は一般的な管理方法ではありますが、不正アクセスやサイバー攻撃を受けやすく、個人情報の流出、データの改ざん、サービスの利用停止などのリスクがあります。

 

上述した「プライバシー問題」と「セキュリティ問題」、これがWeb2.0の問題点です。こういった問題を解決すべく、Web3.0に向けて様々な技術やサービスが開発されています。

#79 4Gと5Gの違い

スマートフォンの利用者数が激増した2010年代。その流れを支えたのが、現在も主に利用されている通信速度50Mbps~1Gbpsの4Gであり、人とインターネットが常時接続されているような状況を実現しました。通信速度が飛躍的に向上したことで、スムーズなインターネット利用のほか、モバイルゲームや動画のストリーミング再生など大容量コンテンツをいつでも気軽に楽しめるようになりました。

 

そして2020年代、いよいよ5G_Web3.0の時代へ突入しています。4Gが「スマートフォン用のモバイルネットワーク」だとすれば、5Gは「これからの社会を支えるモバイルネットワーク技術」と定義できます。あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT時代を迎え、幅広いユースケースと応用技術が想定されるためです。

 

それを可能にするのが、「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」という3つの特徴をもつ5G通信。4Gと比べて通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続台数は10倍の進化が見込まれ、さまざまなサービスやビジネスでの活用が期待されています。

 

例えば、国際電気通信連合による伝送遅延の目標値は1ms。4Gは10msだったため、10分の1に改善。仮に、時速60kmの車両に遠隔でブレーキをかけた場合、4Gの空走距離は約1.7mなのに対し、5Gはわずか数cm。伝送遅延の改善により、非常時に搭乗者の安全を確保することができます。このように、高い信頼性が必要になる遠隔制御、遠隔医療の分野でも、低遅延通信の技術が様々な用途に応用され、実用化されていくことでしょう。

#78 5G_これからを支える日進月歩の通信技術

◻️5G通信の普及により実現するWeb3.0の世界

Web3.0とは、主にブロックチェーン技術によって実現されようとしている新しいWebの世界です。

 

◼️5Gまでの移動通信システムの変遷

1G 1980年代に普及。アナログ方式で、携帯電話の機能は音声通話のみ

 

2G 1990年代に普及。デジタル方式で、携帯電話でネットやメールの利用が可能に

 

3G 2000年代に普及。世界標準の移動通信システムで、海外での利用も可能に。また高速大容量化した通信網で、プラットフォーム上のサービスが増加

 

4G 2010年代に普及。スマートフォンの普及に応じて通信の高速大容量化が進み、動画視聴やモバイルゲームなどが可能に

 

5G 2020年代に普及。「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」が実現。Web 3.0_IoT時代の基盤となる通信インフラへ

 

みなさん、新しい通信技術が一般に浸透するまでに要する期間の法則にお気付きでしょうか。

1980年代からの変遷を見ての通り、10年ごとに1Gずつ段階的に増えていることが分かります。

 

2020年にスタートした5G通信も、現在はネットワークのインフラ整備段階にあり、私達からしても現時点では5Gを快適に利用しているといった実感もありません。むしろ「5G通信が人体に及ぼす影響」など、ネガティブな意見や発信が多いのも事実です。

 

しかし、これは新しい技術に対する一種の拒絶反応であり、過去の歴史から見ても当然の反応と言えるものなのです。

 

2025年頃には5Gだからこそ実現できるサービスが幅広く普及し、2030年に向けて一般ユーザーに当たり前に浸透する頃には、「6Gの世界」が話題になっている事でしょう。

#77 「価値」の可視化による新しい経済

資本主義経済における価値の定義とは、実態経済としての実用性や対価を指すことがほとんどでした。

 

ここで言う見えない価値とは、他人からの共感や注目、信頼など、資本としては認識できなかったけど実際には社会に影響を与えているよね、と私たちが認識している精神的な側面の事を指します。

 

典型的なものが、Twitterやインスタグラム、フェイスブックなどのソーシャルメディアです。その人がどれくらいの人から支持され、興味関心を持たれているのかをリアルタイムで可視化して認識できるようになりました。

 

こういった内面的な価値をデータとして認識し、数値化することで、独自の経済システムを構築することも可能です。導入例のひとつとして、社内通貨があります。社員は毎月一定量の社内独自デジタル通貨を支給され、それを同僚に対して付与(仕事を手伝ってくれたお礼など)できるといった仕組みにしているところが多いようです。

 

投げ銭のような感覚で気軽にやり取りができ、貰った通貨は経理で清算して給与にしてもよし、貯めて部下や同僚に還元するもよし、社内独自の経済圏を回していることになります。

 

このように、今までは容易でなかった人間の感情の部分さえも数値化し、新しい経済圏として流通させることが簡単にできる時代になっているのです。

#76 加速化する「分散化」

今後の10年間に渡って予測されるトレンドのひとつが、経済の「分散化」と言えるでしょう。これは、既存の経済の在り方を根本から覆すほどのインパクトがあります。なぜならば、既存の経済や社会は、分散の真逆である「中央集権」によってその秩序を保っているからです。

 

国に限らず、企業や組織に至るまで必ず中央管理者の存在があり、そこに権力や情報を集約させる管理体制を敷いており、それが最も効率が良いとされてきました。

 

情報が偏在しており、リアルタイムで全体に情報共有ができないことを理由に、仲介者をハブとして社会秩序を保ってきました。そのため、必然的に仲介者に力が集中するような仕組みになっているのです。

 

しかし、現在ではPCやスマホの普及により、全員がネットワークに常時繋がっているような状態が当たり前になりました。これからは更なるテクノロジーの革新により、人とモノ・モノとモノとが常時繋がった状態が実現します。そうなると、仲介人のようなハブ的な役割の存在は必要なくなり、全員がネットワーク上に分散した新しい形の社会に変わっていくでしょう。

 

この「分散化」という現象は、産業革命以来、近代の社会システムを大きく覆し、中央集権型の管理体制から、分散型ネットワーク社会を構成する個人への権力の逆流を生じさせます。

 

あくまでも個人が主役になる、ある意味、原点回帰ともいえる新しい社会システムが近い将来実現しているかもしれません。

#75 FinTech(フィンテック)を支える5つのテクノロジー

① ブロックチェーン

ネットワーク上のスマホやPCなどのデバイスが優劣のない対等な関係でデータを共有し、中央管理者を介さずにシステムを自律分散的に維持する仕組みを「ブロックチェーン」といいます。こちらは何度も取り上げているので、過去記事を参照してください。

 

② IoT

IoTは「Internet of Things」の略。自動車、電化製品、医療機器など、身の回りのモノが常時インターネットに接続されている状態のことをいいます。それにより、膨大で幅広い情報がリアルタイムで蓄積され、それらの情報を解析することで、不具合の改善や新たなサービスの開拓に役立てられるのです。

 

③ AI(人工知能)

認知・推論・学習したりする能力をコンピュータで可能にするテクロノジーをAI(人工知能)といいます。IoTで収集したビッグデータを解析・蓄積・応用するのに役立ちます。AIの代表的なものにロボアドバイザー、チャットロボット、接客型サイネージ(電子看板)などがあります。

 

④ API

APIは「Application Programming Interface」の略。既にあるプログラムを誰もが自由に使えるようになったプロトコル(規約)のこと。つまり、デバイスやネットワーク上のアプケーションと、外部のアプリケーションを結び合わせるシステムのことをいいます。FacebookやTwitterなどもAPIを公開しており、そのAPIを利用して短時間でアプリケーションを実装できるようになりました。

 

⑤ 生体認証

生体認証とは指紋・静脈・虹彩などの身体的特徴を基に本人確認する認証システムのことで、従来の暗証番号やパスワードといったセキュリティと比較すると安全性が極めて高く、個人情報漏洩、スキミング等の防止に効果的です。

 

ここまで、ブロックチェーン技術・IPFS・Filecoin・DApps・DeFi・FinTechなど、様々な分野で進行する断片的な情報を不規則に発信して参りましたが、結局のところすべては繋がっており、同じ方向に向かって突き進んでいるということが分かります。

 

今後の数年間に起こり得る、テクノロジーの進化が巻き起こす破壊的イノベーション。現行の市場競争の秩序を根底から覆し、既存企業のシェアが大幅に低下するほどの影響を与える革新的な変化が訪れようとしています。

#74 FinTech_フィンテックとは[後編]

◻️FinTech(フィンテック) 10の分野⑥~⑩

 

⑥ オンライン融資

インターネット上で受けられる融資やローンのサービスです。一般的な融資と異なり、ネット上の業績の取引実績を重視して審査を行う融資サービスで、インターネット上で完結するため、スピーディに融資を受けることができます。

 

⑦ 保険

保険業界におけるフィンテックを、Insurance(保険)とTechnology(技術)を組み合わせて、InsurTech(インシュアテック)とも呼びます。AI(人工知能)を利用して業務プロセスの効率化、健康増進型保険などのサービスを開拓しています。

 

⑧ 送金

互換性のある決済アプリを利用しているユーザー間の送金がスムーズかつ少ない手数料で行えるサービスもフィンテックです。このようなアプリを使うことで、1円単位での割り勘や遠くの相手(外国)にも低遅延で送金できます。

 

⑨ 金融情報

フィンテックによってビッグデータを収集し、分析することで、効率的に経済情報、物価指数、消費動向などの金融情報をリアルタイムで把握することができます。収集した情報は会社の運営に関わる人やモノの流れについて最適化を促進することなどに役立てられます。

 

⑩ PMF(個人財務管理)

PMFは「Personal Financial Management」の略で、個人のお金の管理をサポートするソフトウェアの略称です。日々の収入や支出、銀行・証券・保険などの資産管理を自動的に行ってくれるサービスで、銀行口座やクレジットカードと連携して財務情報を自動的に収集・分析し、家計簿をつけてくれるアプリなど、個人の収支管理サービスなどがあります。

 

金融×テクノロジーが実現するフィンテック。特に金融企業は、減少の一途を辿る国内人口(顧客)への対策と、拡大していくデジタル世代への対応を同時に行っていく必要に迫られています。FinTech導入を得意とする企業などを活用し、より低コストで安全性・信頼性・生産性の高い新しいビジネスモデルの構築が要求されます。

 

一過性のブームではなく、身近に迫る超デジタル社会の金融分野を支えるニューモデルへの転換は、もはや避けて通れない、今までの常識を覆す金融革命とも言えるパラダイムシフトになるでしょう。

#73 FinTech_フィンテックとは[前編]

FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。金融分野と情報・通信技術を融合したイノベーションのことをいいます。

 

キャッシュレス決済や暗号通貨、AI投資などがその一例で、既存のサービスを利用者目線でより利便性の高いものに変えていく動きともえいえます。

 

◻️FinTech(フィンテック)10の分野①~⑤

 

① キャッシュレス決済

クレジットカード決済・QRコード決済などのキャッシュレス決済は、現金のやり取りなしで決済ができる、フィンテックを利用した代表的なサービスです。

 

② 暗号通貨

暗号通貨とは中央管理者がおらず、国家が価値を補償していない通貨(法定通貨としては認められていない)のこと。主にネットワーク上での「お金(価値)」のやりとりに利用され、暗号資産取引所などで各国の法定通貨と交換することで入手できます。特定の商品やサービスの決済に利用できるデジタル通貨です。

 

③ ロボアドバイザー(資産運用・投資補助)

人工知能やアルゴリズムを活用して、資産運用のアドバイスをしてくれるサービスです。

投資金額・保有資産・投資経験の有無・投資目的・リスクの許容範囲等の簡単な質問に答えることで、過去の関連データを基にアルゴリズムを組み、将来の値動きを予測し、最適な資産ポートフォリオを低コストでアドバイスしてくれます。当然、元本を保証するものではありません。

 

④  クラウドファンディング

自社の商品やサービスを多数の顧客から賛同を得ることで、資金調達を行うサービスです。

将来有望なスタートアップ企業や個人が、資金も信用もなく、銀行融資を受けにくいなどの理由から、インターネットで幅広く資金を調達する仕組みです。寄付型、購入型などがあり、寄付型とは、資金援助はするが投資家がリターンを求めない支援方法。購入型とは、投資家がリターンを求める資金提供方法です。リターンの内容は企業側が決めることができ、モノやサービスでフィードバックするなど、多種多様です。

 

⑤ ソーシャルレンディング

レンディングとは「融資や調達」という意味で、お金を借りたい人と貸したい人をマッチングさせるサービスです。通常、銀行などからお金を借りる際には金利という手数料が発生しますが、ソーシャルレンディングでは個人と個人をインターネットで結びつけることで、貸し手には高利回りでの資産運用、借り手には低金利で融資を受けられるといったメリットがあります。

#72 量子コンピュータ×ブロックチェーン②

暗号化規格の種類によっては量子コンピュータに脆弱性を持つものもありますが、いわゆる「量子コンピュータ耐性」を持つアルゴリズムはすでに開発が始まっており、一般的な種類の暗号化技術であっても、正しく使用すれば「量子コンピュータ耐性」が実現可能な場合もあるのです。

 

量子コンピュータの普及により、量子耐性のない従来型の暗号技術に依存するアプリや暗号通貨ネットワークなどは、いずれは量子耐性のあるアルゴリズムへの移行が必要となるでしょう。しかし、これを破壊ではなく革新と捉えれば、量子コンピュータとブロックチェーン技術は共存し、互いを強化することが可能です。

 

まだ実在しませんが、量子コンピュータとブロックチェーン技術の組み合わせは「量子ブロックチェーン」として認知されるようになりました。量子ブロックチェーンは、従来型ブロックチェーン同様、暗号化された分散型台帳技術ですが、量子演算、量子情報理論、量子力学に基づいて構築されたネットワークプロトコルになります。

 

「量子ブロックチェーンモデル」なるもので、取引データの断片は短時間しか存在しない「量子もつれ」状態の光子(光の粒子)に保存されます。しかし、光子が存在しなくなった後も、その光子は過去に遡って読み取りが可能であり、永久に保存され、変更できません。

 

理論上は、このような技術を使った極めて信頼性の高いプラットフォームが実現できるのです。

 

量子コンピュータが実用化されるまでには、まだあと5~10年は必要と言われています。それまでの間、暗号通貨の開発者や私たちユーザーは、ブロックチェーンネットワークの量子化に必要とされる対策と措置を講じる猶予があります。

 

量子超越時代(一万年かかると言われた計算が200秒でできるようになる近未来)が到来したとき、[量子コンピュータ×ブロックチェーン] の可能性とその答えが明らかになることでしょう。